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2018-02-16 11:13:48
“売れない”“売りにくい”と酷評の物件。
しかし、その物件と売主様の魅力に気付いたひとりの営業。
こだわりの物件をつくり続ける売主様とその熱意に惚れ込む営業の話。




「新しい物件が出るんですが、また“あなた”にお願いしたいんです。」

それは売主様がハウスプラザではなく、私個人に新しい物件を一任したいという内容だった。もちろん、他社への依頼など考えていないという。

その売主様とのはじまりは、以前の店舗に勤務していた頃。“売れない価格帯”、“売りにくい間取り”という評価の物件があった。
当然ながら他の営業は手頃な価格のスタンダードなつくりのいわゆる“売りやすい物件”に目を向けた。
そんな置き忘れられてしまいそうになっていた物件が、その売主様のものだった。

少し相場より高い理由は何か。この間取りの使いやすさは何か。そればかりを考え物件の良さを見つけ出した私は、お客様にアピールして完売させた。
以来、その売主様から頼られることが多くなった。

物件だけでなく、“足を運び、汗をかく売主様”にも私は魅了された。
アフターメンテなどの際、他所なら請負業者や施工業者にすべて任せる売主様が多い。クレームでもない限り売主様が現場に足を運ぶことはあまりないが、その売主様はどんな些細なことでも業者よりも早くお客様のところへ足を運んだ。
そんな汗する売主様の姿を私は好きになった。


今回依頼された2棟の物件も周囲の評価は同様だった。
人気のエリアとは決して言えない場所に建てられる新たな物件は、相場よりやや値段が高く、現在主流の間取りや内装とは少し違っていた。それでも強固な基礎づくりからはじまり、上質な建材と設備がふんだんに使用される。そんな売主様のこだわりが込められた物件に私も魅了された。
売りやすい価格帯の物件も周囲にはたくさんあった。それでも、“こんなにいい物件はない。一番いい物件だ!”という思いが強かった。

強い思いは、ポスティングチラシやネット掲載で使用する写真にすらこだわった。朝・昼・夕、物件が一番映える日当たりを求めて現地に足を運び写真を撮った。
その結果が如実に現れたのはネット掲載で、メールでの問い合わせが多数寄せられた。しかし、いざアポイントの電話を入れても次に繋がらない。

(反響は多い。いつか、このこだわりが伝わるお客様に出会える。)

そう信じて疑うことはなかった。


そんな私のこだわりに呼応するように2棟の物件に2組のお客様が現れた。10歳くらいの女の子がいる3人家族と結婚を控える30代前半のカップル。

「すごくわかりやすかった。なんか住んでみたくなった。」

そう語ったのは女の子。施工・基礎・耐火・耐震・間取り・建材などなど、大人でも聞いたことないような専門用語については、いつも私は小学生でも分かるように丁寧に説明していた。だからこそ、熱く語る惚れた物件への思いが女の子にも届いたのだろう。ほどなくして、このご家族と契約に至った。

一方のカップルは、入籍を控える多忙な時期だった。さらに別々に暮らしていることから、先のご家族のように新居を検討する時間に多くを割けない状況だった。

テーマパークで感じるドキドキやワクワクを家探しでも実現できると思っている私は、物件探しをする1日を楽しんでもらえるようにカップルをもてなした。

“終日、家探しに没頭してもらう”

そのために、希望条件や見学したい物件などをあらかじめ聞き出し、可能な限り情報収集や下見を行った。
その上で、物件の良い部分や悪い部分を的確にお伝えした。

物件探しに悩むカップルの心を整理するために、終電ギリギリまで車の中で商談を続けたことが一度だけあった。

「スッキリしました。あの家に決めました。」

“未来のご主人”がそう電話してきたのは、終電で帰った翌日の午前中だった。


「さすがですね。今回も、お任せしてよかった。」

依頼された2棟の物件を無事に完売できたことを報告したときにいただいた売主様からの労いの言葉だ。

こだわって建てられる物件の魅力をお客様にきちんとお伝えする。それが営業の役目であり、そのためには自分自身が物件に惚れ込むことも重要だ。

「新しい物件が出るんですが、また“あなた”にお願いしたいんです。」

労いの言葉に浸る間もなく、売主様は言葉を続ける。

いつもと同じように任された物件。きっと、いつもと同じようにいい物件に違いない。


熱を伝えるのも仲介の仕事


こだわっていいものを作っている売主様に惚れ込んだ営業とその営業を信頼してすべてを任せる売主様。
そんな相思相愛のような関係が何よりも嬉しい。

同じように、お客様ともそんな関係を目指している。
だから私は、売主様や物件から感じた熱をお客様にそのままお伝えすることを常日頃心がけて営業活動をしている。

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