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2018-04-06 12:42:42
【泣ける住宅購入】今、自分ができることをやり続けるのが今の私の仕事
営業成績が芳しくない。
営業なら誰もが経験する壁に直面した時、
周囲がやっていないことを徹底して行うことに専念した営業の話




私が仲介を担当する都内の城東は人気のエリアだ。現地販売会を行えば、地元の江戸川住民だけでなく都内各地や他県から見学に来るお客様も少なくない。人気エリアであるがゆえ、不動産についての情報を調べているお客様も多い。

「このあたり、ちょっと高いよね。」

確かにその通りで、ここ数年の地価は右肩上がりの傾向にある。でもそれは断片的な情報であり、高い安いは個人の価値によっても変わる。
そんなお客様には周辺物件の一覧を見せ、相場や建物の大きさ、周辺環境や駅からの距離などを説明している。
お客様の希望条件すべてに沿う物件を提案するならば、市川や浦安といった川を越えた千葉県になってしまうと伝えると、諦めた様子でとぼとぼと帰っていくお客様を何組も見てきた。

“城東に一軒家を持つ”というお客様の期待に応えられないもどかしさは、私自身が実績を上げられないというスランプの一因になっている。



実績が上がらない状況では、ずっと底辺で横這いが続く仕事へのモチベーションも上がらない。会社へ行くのも嫌になる朝もたまにある。

「誰もが経験する壁だよ。」

そんな感じで上司や先輩方に優しく見守られていることさえ、正直つらくなってくる。“何を偉そうに”と思われる方が、気が楽になるのかもしれない。

でも同じ場所で働く上司・先輩・同僚、そして会社に迷惑を掛けたくない気持ちは強い。
そこで“実績を上げられない今の自分にできることはいったい何か”を考えて行動に移した。そのひとつがネットに掲載する物件の情報を作成することだった。

店舗にはどちらかというと事務仕事を苦手そうにしている営業一筋の先輩や同僚が多い。

「遅い・・・。まだ起ち上がんねぇ。」

パソコンを起動するほんの数分を煩わしいと言っている先輩の姿を見て“これだ!”と思った私は、その日から店舗が扱う物件のネット掲載を担当する役目を買って出た。
すべての項目を丁寧に埋め、より詳細になった物件情報は喜ばれた。それは先輩や同僚だけでなく、本社からの声も聞こえてきた。

直接耳にしたことはないが、お客様も事前にネットで物件情報を調べて問い合わせたり、現地販売に来場されたりする場合が多く、わかりやすく整理した情報を掲載するように気をつけている。“どこかで誰かのお役に立てているのではないかと思っている。



そして不動産仲介の営業として、お客様と同じくらい大切な存在が売主様だ。ハウスプラザがお客様に自信を持って仲介している物件のほとんどは、売主様から預かっている大切なものだ。

現地販売を売主様から任されれば、そこに売主様も足を運んでくる。ご成約という結果を出すことが売主様にとっての一番の報告であることは間違いない。
しかし、足を運ぶ売主様には、集客力も仲介業者の腕の見せ所であり、次も任せてみようと考える一因になる。そのために私は、丁寧な物件情報のネット掲載やポスティング、現地への誘導など一切手を抜かずに徹底した。

それまでの慣例を越えた徹底ぶりに、“そこまでやるか?”という周囲の声もあったが、それも少しずつ聞こえなくなり、今では後輩も追随するようになったのが少し嬉しかった。



つい先日担当した人気エリアにある現地販売の物件は、最寄り駅から徒歩で20分ほど離れた場所にあった。車で来場されるお客様もいたが多くは駅から徒歩で来場され、その中にはご年配の夫婦もいた。
思わず“ご苦労様です”と声を掛けたくなったが、それを躊躇させたのは“にこやかな表情”でご夫婦が現れたからだった。

「あっ、ここだ。ここだ。」

そう言って現地販売の物件にやってきたご年配の夫婦。おふたりにとっての“駅から徒歩20分”は、疲れただろうがおそらく苦労ではなかっただろう。

物件にたどり着いた時の何気ないつぶやきとおふたりの“にこやかな表情”が、私のやってきた集客への尽力が報われたように思え、横這いだったモチベーションを少しだけ上向かせてくれた気がした。


根底にある意地


私の周囲には、お客様、売主様、先輩や同僚がいる。私がどんなにスランプだとしても、それは変わらない。

“周囲の人々のために、今、自分ができることをやり続ける。”

それは根底にある意地みたいなもので、仕事を続ける原動力になっている。