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2015-03-17 15:37:55
どっちが正解?『所有権vs借地権』
住宅を探す際に『借地権』付きという物件を目にすることはありませんか?『借地権』に対して『所有権』という権利もありますが、いったい何がどう違うのでしょう?

■所有権とは?
一般的に土地の売買は『所有権』の売買のことを指しています。『所有権』とは文字通り土地を所有する権利のこと、つまり土地を買った人がその土地の所有者になる、ということですね。
所 有者になれば、その土地を自由に処分(売却・贈与・相続など)することができますが、土地に対する固定資産税や都市計画税を支払う義務が生じます。

■借地権とは?
『借地権』とは、他人(地主)から土地を借り、そこに自分の建物を建てる場合に発生する「土地を借りる権利」のことを指します。
借りるのは土地だけなので、建物は自分の所有物となります。したがって賃貸物件とは異なり、建物に対するリフォームなどは自由にすることが可能です。

■所有権と借地権、どちらがお得?
「借地イコール土地を借りる」というイメージがあるため、土地を所有できる『所有権』の方がお得に見えてしまいますが…実はどちらにもメリット・デメリットがあります。
『所有権』は『借地権』に比べ、土地を自由に扱うことができるというメリットがありますが、一般的にかかる費用は高くなりがちです。これはイニシャルコストとなる購入価格、登記にかかる税金などが影響するからです。

では『借地権』の方がお得かと言うと…そうとも言い切れないのですね。
土地を所有せずに借りる分、所有権に比べてイニシャルコストは安く抑えることができますが、土地所有者(地主)に対して継続的に地代を支払う必要がありますし、住宅ローンの利用や建物の構造にも制限がかかる場合があります。
また、『借地権』は『所有権』に比べて資産価値が低くなる傾向にあり、一般的には所有権価格の60~70%で取引されます。将来的に土地を資産として考えているのであれば、この辺りも気にしておく必要がありそうですね。

■借地権にも二種類ある
『借地権』には「地上権」と「賃借権」の二つが存在します。

「地上権」には、その土地を支配することができる強い権利があります。土地を支配する権利とは、土地所有者(地主)の承諾なしに第三者に「地上権」を譲渡したり、賃貸をすることができる権利です。

一方の「賃借権」は土地を間接的に利用できるのみで「地上権」ほど強力な権利ではありません。譲渡や転貸、建物の建て替えを行う際には土地所有者(地主)の承諾と、土地を借りるときに支払った権利金の3~5%にあたる承諾料が必要となります。

なお『借地権』つきマンションはその多くが「地上権」となりますが、一戸建ては「貸借権」が付与されていることがほとんどのようです。自分の借りようとしている土地がどちらに該当するのか、事前に確認しておくと良さそうですね。

■知っておきたい法律のおはなし
権利の話とは切っても切り離せないのが法律の話。
『借地権』には土地を借りるにあたり、土地所有者(地主)とのトラブルを避けるために「借地借家法」という法律が制定(平成4年改正)されています。

「借地借家法」には「普通借地権」と「定期借地権」の二つが制定されています。「普通借地権」は借地期間を最低30年とし、借りている人が希望すれば自動更新されるという権利。
一方の「定期借地権」は一般的に借地期間を50年とし、期間満了後には土地を更地にして土地所有者(地主)に返還する必要がある権利となっています。

なお、改正前の旧借地法による『借地権』が設定されている場合は、引き続き旧借地法が提供されます。借地期間などに違いがありますので、借りる土地にはどの借地権が適用されているのかを事前に確認をしておく方が安心ですね。


初期費用を抑えたいのであれば『借地権』付きの物件、将来的な資産価値を気にするのであれば『所有権』付きの物件と、自身のライフスタイルやライフプランに合った物件を探してみてはいかがでしょうか。

※平成27年3月作成